ラビング・プレゼンスでは、「存在」のレベルで人と係わる
![]() 自分にとっての「心の糧(かて)」を、他の人の存在を通じて受け取り、 自らを何らかのプラスの価値やエネルギーで満たすこと。 そして、自分の中で起きているそうした「いい感じ」を味わい、 それを感じ続けるような心の状態に留まり続けること。 それが、ラビング・プレゼンスの基本的なあり方です。 誰かと一緒にいる時に、積極的に「受け取る側」になって、 自分の心や魂が満たされ、鼓舞されることを何よりも優先させるのです。 これだけでは、まだいったい何の事を言っているのかが良く分からないだろうと思います。 「相手の存在から糧を受け取り、自分自身を満たす」とは、どういうことなのでしょうか? 本来であれば、実際に体験をしていただいた上で理解し、習得していただくのが適当な内容ではありますが、ここでは言葉を使ったできるだけ詳しい説明を試みてみましょう。 3つのレベルで人と係わるということ
![]() まず、ラビング・プレゼンスを理解するための大前提として、 人とコミュニケーションする際の『3つのレベル』という考え方を ご紹介してみましょう。 それは、「言葉」、「気持ち」、「存在」の3つです。 ![]() ひとつめの「言葉」とは、日常ごく普通に行っている人との会話であり、 お互いに言葉をキャッチボールしているレベルのことです。 このレベルでのコミュニケーションのコツは、 相手が話している言葉の内容をしっかり理解してあげること。 いわゆる「聴き上手」になることです。 人に話をしっかり聴いてもらえるというのは、とても嬉しいことです。 日常生活の中では、話を聴いてもらっているようでいて、 実際は十分には聴いてもらえてはいないことが多いでしょう。 たとえば、話の途中で遮られたり、意見されたり、反論されたり、うなずきつつもうわの空だったり…。 ですから、「聴き上手」な人は、相手の話にしっかりと耳を傾けます。 しかし、もちろんそれだけが人との係わり方ではありません。 ![]() ふたつめは、「気持ち」のレベル。 相手の人がその時どんな気持ちでいるのかに心を傾けてみる係わり方です。 このレベルでのポイントは、話の内容を理解することとは別に、 その時に話されている言葉の奥にある気持ちを理解しようとしてみること。 相手の人の中で動きつづけている気持ちの流れに寄り添っていくことです。 いわゆる「共感」と言われている行為にあたります。 「その事を思うと、とても不安なんだね…」 「とっても楽しみで、ワクワクしてくるんだね…」 「今、すごくムシャクシャする感じなんだね…」 人が話をするのは、話をしたいという何らかの気持ちがそこに動いているからです。 気持ちがあって初めて、そこに言葉が生まれてきます。 ですから、一般的に、気持ちを分かってもらえた時の喜びは、 話の中身を理解してもらえた喜びよりも深いのです。 人の気持ち、特に感情の動きの約9割は、 言葉以外のメッセージとして表現されている、とも言われています。 表情、声の調子、身体のしぐさなどです。 ですから、そうした言葉以外のメッセージにも目を向け、心を傾けていきます。 そして、「言葉」以上に、その時その時に言葉の背後で起こっているその人の「気持ち」をキャッチし、 そのひとつひとつを大事に受け止めていくわけです。 ![]() みっつめは、その人の「存在」そのものです。 気持ちの動きがあって初めて言葉が生まれてくるように、人の中に 何らかの気持ちが動くのは、その時その場にその人がひとつのいのち としてまさに存在しているからです。 いのちのないところに、気持ちは生まれてきません。 当たり前と言えば当たり前のことなのですが、 われわれは普段どれだけそのことを意識して人と係わっているでしょうか? 相手を唯一無比ないのちある存在として感じ、 その尊厳、その価値、その輝きを前提として係わろうとすること。 自分の存在そのものを認め、受け止めてもらえる喜びは、他の何物にも代えがたいものがあるでしょう。 ですから、「気持ち」に耳を傾けることも大切にしつつ、 しかしそれ以上に、相手の人をいのちの「存在」そのものとして感じ、 受け止めることを最も大切にしながら人と係わろうとしていく。 それが、このレベルでのコミュニ ケーションのあり方になります。 そして、この「存在」というレベルで人と係わるための、 実践的な方法のひとつが、ラビング・プレゼンスです。 |
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